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沖縄歳時記

日々のせわしない時間の中で、ふと、足をとめて周りを見渡すとき、季節が静かにしかし着実に移ろうことに気がつき、目の前の雲がふぁーっと晴れ渡るような気持ちになることがありす。
季節の無いといわれる沖縄ですが、風を感じる気持ちさえあれば、自然は、わたしたちにちゃんと語りかけてくれています

※主な参考文献

  • 『沖縄の歳時記』(比嘉朝進著、佐久田出版社刊)
  • 『亜熱帯沖縄の花』(アクアコーラル企画刊)
  • 『美ら島』(沖縄コンベンションビューロー刊)

1月 そーぐゎち

緋寒桜

甘蔗刈や丸座となりて手弁当 (大仲駒星)

甘蔗刈りの季節は冷たい北風が吹き、時々は小雨も交じる。雨靴の中の防寒のための厚手の靴下も、下着さえもぐっしょりと濡れる。自分を励ますために歌いだすほどだ。そんな辛い甘蔗刈りの楽しみは昼食。持ってきたおかずの半分は弁当箱の蓋に載せ、車座の真ん中に出し合う。喜びが寄り集まる時間だ。

【季語】

歳暮南風 師走南風 鬼餅(ムーチー) 鬼餅寒(ムーチービーサ) 一重草 甘蔗刈 製糖 タンカン 緋寒桜 千年木の花 火炎葛

【開花】

猩々木(ポインセチア)=とうだい草科(11~3月)/イペー=のうぜんかずら科(12~3月)/やぶ椿=椿科(12~3月)/緋寒桜=バラ科(1~2月)/火炎かずら=のうぜんかずら科(1~4月)

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2月 にんぐゎち

ケラマツツジ

目を閉じて十六日祭の墓の前 (山城光恵)

十六日祭はあの世の正月。一族が墓に集まり、持ち寄った御馳走をいただいて楽しいひと時を過ごす。先祖がつくってくれた、門中の懇親のひと時。先祖の霊に見守られていることを実感する幸せなひと時である。

【季語】

田植寒 畑寒 旧正月 初起し 初畑 船起し 生年祝い 十六日祭 火の神迎え ジュリ馬 梅の花 松の花 慶良間ツツジ 弁慶草 佐多草

【開花】

猩々木(ポインセチア)=とうだい草科(11~3月)/イペー=のうぜんかずら科(12~3月)/やぶ椿=椿科(12~3月)/緋寒桜=バラ科(1~2月)/火炎かずら=のうぜんかずら科(1~4月)/ケラマツツジ=ツツジ科(2~4月)

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3月 さんぐゎち

菜の花

聖紫花の一花落ちて瀬に光る (北村伸治)

聖紫花の自生地で有名なのは石垣島や西表島。なかでも浦内川の川べりに咲く聖紫花は格別だ。川岸から川面の上に枝を伸ばし、燦然と咲く。そう、春の陽光を受けて燦然と咲くのである。学校の卒業式の頃に咲くので、「別れ花」とも呼ばれている。

【季語】

海開き 二月風回り 黄砂 春の荒 蝶 蛙 椰子蟹 宿借 島薊 モズク採り 椰子の花 黒つぐの実 棕櫚の花 聖紫花 鉄砲百合 菜の花

【開花】

猩々木(ポインセチア)=とうだい草科(11~3月)/イペー=のうぜんかずら科(12~3月)/やぶ椿=椿科(12~3月)/火炎かずら=のうぜんかずら科(1~4月)/ケラマツツジ=ツツジ科(2~4月)/沖縄シャリンバイ=ばら科(3~4月)/黄金のうぜん=のうぜんかずら科(3~4月)/せんだん=せんだん科(3~5月))/藤=まめ科(3~5月)/くちなし=あかね科(3~5月)

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4月 しんぐゎち

デイゴ

梯梧よ咲けB52はもうこない (具志堅崇)

花が人を励ますのはなぜだろう。その花の中でも、古来、デイゴを抜きには語れない。以前、大阪在住の県出身者からデイゴを送るよう依頼されたことがある。八十歳過ぎての望郷。どんな気持ちでデイゴを眺めたことだろうか。

【季語】

走り梅雨 うりずん うりずん南風 浜下り 蓬餅 潮干狩り 磯遊び 清明祭 草蝉 春蝉 ハブ 苦瓜 梯梧の花 新茶 一番茶 月桃の花 双思樹の花 浜沈丁 軍配昼顔 紋羽ノ木の花 天の梅 草海桐の花 蒲葵の花

【開花】

火炎かずら=のうぜんかずら科(1~4月)/ケラマツツジ=ツツジ科(2~4月)/沖縄シャリンバイ=ばら科(3~4月)/黄金のうぜん=のうぜんかずら科(3~4月)/せんだん=せんだん科(3~5月)/藤=まめ科(3~5月)/くちなし=あかね科(3~5月)/デイゴ=まめ科(4~5月)/相思樹=まめ科(4~5月)/月桃=しょうが科(4~6月)/火炎木=のうぜんかずら科(4~8月))/茉莉花(マツリカ)=木犀科(4~11月)

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5月 ぐんぐゎち

源河川の鯉幟

風呑んで意気溌剌の鯉幟 (大城はる子)

風薫る五月。源河川に鯉幟がはつらつと泳いでいた。川沿いの公民館では村祭りが催され、舞台は歌三線で華やいでいた。美しいだけではない。古里とは、愛情を沢山もらった地のことをいうのだろう。

【季語】

梅雨入り 小満芒種 小満荒 若夏 復帰の日 腰憩い 畔払い 虫払い 蜻蛉 蟹 潮招き 岡蟹 パパイヤ がざみ 白鯛 蘇鉄の花 伊集の花 福木の花

【開花】

火炎かずら=せんだん=せんだん科(3~5月)/藤=まめ科(3~5月)/くちなし=あかね科(3~5月)/デイゴ=まめ科(4~5月)/相思樹=まめ科(4~5月)/月桃=しょうが科(4~6月)/火炎木=のうぜんかずら科(4~8月)/茉莉花(マツリカ)=木犀科(4~11月)/伊集=椿科(5~6月)/すいかずら=すいかずら科(5~7月)/オオハマボウ=あおい科(5~9月)/すいかずら=すいかずら科(5~7月)/沖縄夾竹桃=夾竹桃科(5~10月)/げっきつ=みかん科(5~10月)/にんにくかずら=のうぜんかずら科(5~12月)

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6月 るくぐゎち

ハマユウ

ハーリーや海を叩ゐて櫂踊る (島袋常星)

旧暦5月4日、梅雨明けを告げる爬竜船競漕が催される。ウミンチュ(漁師)の祭典である。櫂は海に深々と突き刺され、グイーと引き寄せられると、揃ってひらり、と宙に舞う。美しい様式美である。激しく戦っているのに、なぜこうも美しいのだろうかと思う。

ハマユウと白さを競う夏の雲  (島の梟)

沖縄の白い花は、テッポウユリとハマユウ。百合はウリズンの季節に咲き、ハマユウは梅雨の開花を告げる。ユリは楚々として咲き、ハマユウは天真爛漫に咲く。沖縄の初夏の「三大花」を挙げるとすれば、デイゴ、月桃、ハマユウだと思うが、どうだろう。

【季語】

梅雨明け 戻り梅雨 短夜 芒種南風 芒種荒 夏至荒 スク荒 夏至南風 白南風 黒南風 ハーリー 芭蕉布 熊蝉 火蛾 蜥蜴 海蛇 姫芭蕉 実芭蕉 鳶烏賊 阿壇の実 鳳凰木の花 慰霊の日

【開花】

月桃=しょうが科(4~6月)/火炎木=のうぜんかずら科(4~8月)/茉莉花(マツリカ)=木犀科(4~11月)/伊集=椿科(5~6月)/すいかずら=すいかずら科(5~7月)/オオハマボウ=あおい科(5~9月)/沖縄夾竹桃=夾竹桃科(5~10月)/げっきつ=みかん科(5~10月)/にんにくかずら=のうぜんかずら科(5~12月)/てりはぼく=おとぎり草科(6~7月)/さがり花=さがり花科(6~8月)/鳳凰木=まめ科(6~9月)/ハマユウ=彼岸花科(6~7月)/厚葉紫紺野牡丹=野牡丹科(6~11月)/オオゴチョウ=まめ科(6~11月)

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7月 しちぐゎち

オオゴチョウ

蒲葵団扇持てば添寝の母浮かぶ (新垣恵子)

クバの葉を天日で干し、団扇の形に切ってから畳の下に敷いて平たく形を整えた。それが蒲葵団扇である。乾いた風とともに、ひと風ひと風ごとに母の愛情も吹いてきたように思う。

【季語】

真夏入り 熱帯日 熱帯夜 炎天 日盛 夏ぐれ 雨乞 熱帯魚 蒲葵団扇 豊年祭 六月強飯 綱引 蝙蝠 蜩 油蝉 蜘蛛 青蛙 雨蛙 黒檀の実 マンゴー パイナップル 時計草 サボテン 角茄子の実 ドラゴンフルーツ

【開花】

火炎木=のうぜんかずら科(4~8月)/茉莉花(マツリカ)=木犀科(4~11月)/すいかずら=すいかずら科(5~7月)/オオハマボウ=あおい科(5~9月)/沖縄夾竹桃=夾竹桃科(5~10月)/げっきつ=みかん科(5~10月)/にんにくかずら=のうぜんかずら科(5~12月)/てりはぼく=おとぎり草科(6~7月)/さがり花=さがり花科(6~8月)/鳳凰木=まめ科(6~9月)/ハマオモト=彼岸花科(6~10月)/厚葉紫紺野牡丹=野牡丹科(6~11月)/オオゴチョウ=まめ科(6~11月)/百日紅(サルスベリ)=みそはぎ科(7~9月)/野牡丹=野牡丹科(7~11月)/紅花プルメリア=夾竹桃科(7~11月)

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8月 はちぐゎち

ナンバンサイカチ

アンガマの面つくろひて裏声す (久田幽明)

アンガマとは、お盆に現れるあの世からの爺婆のことをいう。弔われない霊たちを引き連れてお盆の夜、家々を回り歌い踊る。ウシュマイ(翁)と家人との会話が面白い。夏、現世とあの世はつながる。

【季語】

立秋大凪 盆南風 台風 喜雨 夏負 夏痩 エイサー 海人祭 福木の実 赤木の実 榕樹の実 竜眼 琉球藍の花 盆アンガマ 木麻黄の花 虫干

【開花】

火炎木=のうぜんかずら科(4~8月)/茉莉花(マツリカ)=木犀科(4~11月)/オオハマボウ=あおい科(5~9月)/沖縄夾竹桃=夾竹桃科(5~10月)/げっきつ=みかん科(5~10月)/にんにくかずら=のうぜんかずら科(5~12月)/さがり花=さがり花科(6~8月)/鳳凰木=まめ科(6~9月)/ハマオモト=彼岸花科(6~10月)/厚葉紫紺野牡丹=野牡丹科(6~11月)/オオゴチョウ=まめ科(6~11月)/百日紅(サルスベリ)=みそはぎ科(7~9月)/野牡丹=野牡丹科(7~11月)/紅花プルメリア=夾竹桃科(7~11月)/大花百日紅=みそはぎ科(8~10月)/沖縄山茶花=椿科(8~12月)

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9月 くんぐゎち

芙蓉

ゴーヤーの棚解きて残暑の土晒す (大山春明)

ゴーヤーほど夏の味覚として親しまれている野菜はない。苦い。けれども病み付きになる。その実の形も美しく、各地でゴーヤー品評会も催される。ゴーヤーを育てて知るのは、黄色く熟した時に変化する造形美である。

【季語】

残暑入り 斗掻祝 柴挿し 五斂子の実 村踊 イソヒヨドリ 土地公祭 芙蓉の花 秋暑し 八月強飯 ヨーカ日 旃那の花 盾桂木の花 赤秀の花 浜犬枇杷の実 蓮ノ葉桐の実

【開花】

茉莉花(マツリカ)=木犀科(4~11月)/オオハマボウ=あおい科(5~9月)/沖縄夾竹桃=夾竹桃科(5~10月/げっきつ=みかん科(5~10月))/にんにくかずら=のうぜんかずら科(5~12月)/鳳凰木=まめ科(6~9月)/ハマオモト=彼岸花科(6~10月)/厚葉紫紺野牡丹=野牡丹科(6~11月)/オオゴチョウ=まめ科(6~11月)/百日紅(サルスベリ)=みそはぎ科(7~9月)/野牡丹=野牡丹科(7~11月)/紅花プルメリア=夾竹桃科(7~11月/大花百日紅=みそはぎ科(8~10月))/沖縄山茶花=椿科(8~12月)/とっくり木綿=ぱんや科(9~12月)

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10月 じゅうぐゎち

火炎かずら

酔芙蓉石垣高く祝女住めり (大城幸子)

新北風(みーにし)が吹き始めると、沿道の芙蓉の花が咲く。芙蓉は冬の美しい旗手である。島ではイイ蛸捕りが始まり、サヨリが海面を飛び跳ねる。冬の訪れは島の行楽が増える季節でもある。

【季語】

新北風 荒北風 白北風 那覇祭り 風車祝 鷹渡る 迷い鷹 落鷹 鷹の尿雨 鷹の風邪 小鰯 目鰺 飯蛸 甘藷の花 酔芙蓉 大蒜葛 薄の花

【開花】

茉莉花(マツリカ)=木犀科(4~11月)/沖縄夾竹桃=夾竹桃科(5~10月)/げっきつ=みかん科(5~10月)/にんにくかずら=のうぜんかずら科(5~12月)/ハマオモト=彼岸花科(6~10月)/厚葉紫紺野牡丹=野牡丹科(6~11月)/オオゴチョウ=まめ科(6~11月)/野牡丹=野牡丹科(7~11月)/紅花プルメリア=夾竹桃科(7~11月)/大花百日紅=みそはぎ科(8~10月)/沖縄山茶花=椿科(8~12月)/とっくり木綿=ぱんや科(9~12月)/芙蓉(ふよう)=あおい科(10~12月)

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11月 じゅういちぐゎち

サトウキビの花

甘蔗の花風がとらえて波つくる (神元翠峰)

甘蔗の花が大海のようにうねる様子は心奪われる。白い朝日に輝くさまも、赤い夕日に輝くさまも時を忘れさせる。しかし最高の絶景は、満月の光に輝くキビの花である。

【季語】

小夏 小夏日和 種取南風 二期田刈 鮫狩 冬鳥 赤髭 旅人木の花 四角豆 甘蔗の花 桜木綿の花 薔薇朝顔の花 木朝顔 ヨウ菜の花

【開花】

茉莉花(マツリカ)=木犀科(4~11月)/にんにくかずら=のうぜんかずら科(5~12月)/厚葉紫紺野牡丹=野牡丹科(6~11月)/オオゴチョウ=まめ科(6~11月)/野牡丹=野牡丹科(7~11月)/紅花プルメリア=夾竹桃科(7~11月)/沖縄山茶花=椿科(8~12月)/とっくり木綿=ぱんや科(9~12月)/芙蓉(ふよう)=あおい科(10~12月)/猩々木(ポインセチア)=とうだい草科(11~3月)

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12月 じゅうにぐゎち

厚葉紫紺野牡丹

湯し豆腐たぎり見つめて返事待つ (国仲穂水)

家族が鍋を囲んでいる。煮えたぎる寸前の鍋を前に、父と子がいる。だが食事開始の許可を与えるのは母親である。「家内安全」こそ平和な年の暮れである。

【季語】

稲搗波 冬至雑炊 蓬雑炊 藷葉雑炊 冠鷲 冬珊瑚の実 母丁字の実 寒丁字の花 平実檸檬 姫山茶花 珈琲ノ木の実 カーサ餅

【開花】

火炎木=のうぜんかずら科(4~8月)/にんにくかずら=のうぜんかずら科(5~12月)/沖縄山茶花=椿科(8~12月)/とっくり木綿=ぱんや科(9~12月)/芙蓉(ふよう)=あおい科(10~12月)/猩々木(ポインセチア)=とうだい草科(11~3月)/イペー=のうぜんかずら科(12~3月)/やぶ椿=椿科(12~3月)

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